ライフプランシミュレーションを厳しめに見る【2026年版】|前提の置き方で12年ずれました
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- まったく同じ世帯でも、前提の置き方だけで退職年齢が47歳にも59歳にもなります(12年の差)
- いちばん効くのはインフレで6年。入れるなら昇給率もセットにしないと、意図しない厳しさが入ります
- 額面と手取りの取り違えで4年。入力欄がどちらを求めているか、先に確認してください
- 賃料上昇率0%で2年、医療費の加齢増なしで1年、それぞれ甘く出ます
- 特定の無料ツールが要素を省いていると主張する記事ではありません。確認すべき4点を示しています
結論:前提の置き方で、退職年齢は47歳にも59歳にもなりました
ライフプランシミュレーションで「意外といけそう」という結果が出たとき、それをそのまま信じていいのか。「厳しめに見たい」「もっと細かく計算したい」と検索される理由はここにあると思います。
まったく同じ世帯で、4つの前提をどう置くかだけを変えて計算しました。
| 条件 | 退職年齢 | 差 |
|---|---|---|
| すべて反映 | 59歳 | — |
| ① インフレを0%にする | 53歳 | −6年 |
| ② 賃料上昇を0%にする | 57歳 | −2年 |
| ③ 医療費の加齢増を入れない | 58歳 | −1年 |
| ④ 額面を手取り欄に入れる | 55歳 | −4年 |
| ⑤ ①〜④をすべて外す | 47歳 | −12年 |
収入も支出も資産も利回りも、まったく同じです。変えたのは前提の置き方だけで、12年ずれました。
効き方の大きい順に、どこを確認すればいいかを見ていきます。
使った前提
| 項目 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 年齢 | 夫婦ともに35歳・子どもなし | — |
| 世帯手取り | 806万円(額面1,000万円) | 民間給与実態統計調査ベース |
| 生活費(住居費を除く) | 415.9万円/年 | 家計調査2025 |
| 家賃 | 月8.15万円 | 家計調査 大都市 民営借家 |
| 初期資産 | 1,358万円 | 家計調査 第8-5表 |
| 名目利回り | 4% | 基準ケース |
| 寿命 | 95歳 | — |
「退職年齢」は、資産が95歳まで持つ最短の年齢を指します。
① インフレ:6年ぶん甘くなります
いちばん効きました。
インフレ率を0%にすると、生活費が一生そのままの金額で計算されます。現在の生活費415.9万円が、60年後も415.9万円のままという前提です。
日銀の物価安定目標は2%です。2%で60年なら、同じ暮らしに必要な金額は3.3倍になります。
ここで見落としやすいのが昇給率とのセットです。
| 設定 | 意味 |
|---|---|
| インフレ2% + 昇給2% | 実質的に収入も支出も一定。これが基準 |
| インフレ2% + 昇給0% | 支出だけ増える。実質の貯蓄余力が毎年減っていく |
| インフレ0% + 昇給0% | 何も増えない。6年ぶん甘く出る |
インフレ率を入れるなら、昇給率も同じだけ入れてください。 片方だけ入れると、意図しない厳しさや甘さが入ります。
④ 額面と手取りの取り違え:4年ぶん甘くなります
これはツールの問題ではなく、入力する側の問題です。
世帯の額面が1,000万円でも、手取りは806万円です。差の194万円は税金と社会保険料です。額面の1,000万円を「手取り」の欄に入れると、毎年194万円を使えるお金として多く見積もることになります。
結果は4年ぶん甘く出ました。
入力欄が「額面」なのか「手取り」なのかは、ツールによって違います。たとえば金融庁のライフプランシミュレーターは、入力値(額面年収)から手取額を算出すると明記しています。この場合は額面を入れるのが正しい使い方です。
自分が使っているツールがどちらを求めているか、入力前に確認してください。 ここを間違えると、他のどの前提を丁寧に設定しても結果は狂います。
インフレ・税・医療費を入れて試算する
物価上昇率・昇給率・賃料上昇率・医療費のモデルをそれぞれ設定でき、手取りベースで計算します。前提を変えたときに退職年齢が何年動くかを、自分の数字で比べられます。最後にストレステストで暴落を入れ、それでも持つ年齢まで確認できます。
② 家賃:2年ぶん甘くなります
賃貸の場合、賃料上昇率が初期値0%になっているツールや設定があります。この場合、月8.15万円の家賃を60年間払い続ける前提で計算されます。
実際には物価が上がれば家賃も上がります。賃料上昇率を2%(=実質一定)にすると、2年ぶん厳しくなりました。
持ち家の場合は別の論点があります。ローンは完済すれば終わりますが、管理費・修繕積立金・固定資産税は終わりません。 これは持ち家と賃貸を比べた記事で計算しています。
③ 医療費:1年ぶん甘くなります
年齢が上がると医療費は増えます。これを一定のまま計算すると、1年ぶん甘く出ました。
4つの中ではいちばん小さい差ですが、単独で1年ぶんあるという意味でもあります。
「厳しめに見る」ために確認する4点
まとめると、次の順で確認すると効率的です。
| 優先 | 確認すること | 甘くなる幅 |
|---|---|---|
| 1 | インフレ率が入っているか(入れるなら昇給率もセットで) | 6年 |
| 2 | 入力欄が額面か手取りか | 4年 |
| 3 | 賃料上昇率が0%になっていないか(賃貸の場合) | 2年 |
| 4 | 医療費の加齢増を扱っているか | 1年 |
すべて外れていると、合計で12年ずれました。
崩れる条件
- 単一のペルソナでの検証です。 年収・家族構成・住む場所が変われば、各要素の効き方も変わります
- ④は「手取りを入力させるツールに額面を入れた場合」の想定です。額面を入力させるツールでは起きません
- 利回り4%・寿命95歳は固定しています。 これらも前提として結果を動かします(利回り3%・4%・5%の感応度はDINKsシリーズで公開しています)
- 退職年齢という単一の指標で比べています。途中の資産の推移や、何歳でいくら必要かは別の見方になります
- 公開されている無料ツールが、ここで挙げた要素を省いていると主張するものではありません。 各ツールが何を前提にしているかは、それぞれの説明ページで確認してください
みらいコンパスで自分の数字を入れる
この記事の試算は、自分の条件に置き換えて再現できます。前提の設定が結果を分けるので、入力の順番を書いておきます。
- 月収入には手取りを入れます(額面ではありません)
- 昇給率を物価上昇率と同じ2%にします(0%だと実質の貯蓄余力が年々消えます)
- 月の生活費に住居費を含めません
- 家賃はライフイベントの「住居計画」で登録し、賃料上昇率に2を入力します(未入力だと0%で計算されます)
- 物価上昇率2%、実質値表示をONにします
- 医療費のモデルを選びます
- 最後にストレステストで暴落を入れ、それでも持つ退職年齢を探します
2番と4番が、この記事で差が大きかった項目です。 どちらも未設定だと甘い側に倒れます。
7番まで通した数字が、実際の目標になります。暴落を入れずに出した年齢は、良い条件が続いた場合の数字です。
前提が変われば答えも変わります。自分の数字で引き直してみてください。
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