セミリタイアで早く抜けられるのは0〜2年だった|DINKsのFIRE試算 EP5

老後・資産運用

セミリタイアで早く抜けられるのは0〜2年だった|DINKsのFIRE試算 EP5

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

このシリーズについて

夫婦ともに35歳・世帯年収1,000万円(手取り806万円)・子どもを持たない選択・大都市の賃貸というモデルケースで、何歳で仕事を辞められるかを家計調査(総務省)2025年の実測値から試算しています。全5回のうち第5回(最終回)です。

前提の一覧と結論のまとめはシリーズのトップページにあります。本ケースは実在の個人ではなく、統計をもとに構成したモデルケースです。名目利回り4%・物価上昇率2%・想定寿命95歳で計算し、金額はすべて今日の価値に直しています。

目次

結論から:セミリタイアで早く抜けられるのは0〜2年でした

最終回です。完全に辞めるのではなく、週2〜3日の働き方に変えたらどうなるかを試算しました。

結果は予想と違いました。ほとんど動きません。

家賃(月) 生活水準 完全リタイア セミリタイア(世帯で月15万・65歳まで)
8.15万円 S1 節約型 57歳 55歳
8.15万円 S2 標準型 59歳 58歳
8.15万円 S3 ゆとり型 63歳 62歳
12万円 S2 標準型 62歳 61歳
15万円 S2 標準型 64歳 64歳

動くのは0〜2年です。しかもセミリタイアを65歳で終えても75歳まで続けても、抜けられる年齢の差は1年でした。

「完全に辞めたいわけじゃない」

ここまでの試算では、完全リタイアの年齢を出してきました。でも、本当に聞きたかったのはそこではありませんでした。

辞めたいのは週5日・8〜9時間の拘束のほうです。週2〜3日くらいなら、むしろ働いていたい。やりたい仕事だけ選んで月10〜15万円稼ぐ、という形です。

だとすれば、測るべき指標は「完全に辞められる年齢」ではなく「フルタイムの拘束から抜ける年齢」のはずです。そう考えて試算し直しました。

なぜ、ほとんど動かないのか

数字で説明がつきます。1年あたりの収支を並べます。

働き方 収入 生活費 年間の収支
フルタイム 806万円 513.7万円 +292.3万円
セミリタイア(世帯で月15万) 180万円 513.7万円 −333.7万円
完全リタイア 0円 513.7万円 −513.7万円

フルタイムをもう1年続けると、その年は292.3万円貯まり、かつ513.7万円を取り崩さずに済みます。 差し引き806万円。これは手取りそのものです。

一方、セミリタイアで得られるのは年180万円。完全リタイアと比べた差は180万円です。

フルタイム1年の価値は、セミリタイア1年の約4.5倍あります。

だから「セミリタイアに切り替えれば何年早く抜けられるか」を計算しても、答えは小さくなります。月15万円の収入では、フルタイムを1年続けることの5分の1程度しか効きません。

長く続けてもあまり変わらない理由

65歳で終えても75歳まで続けても差が1年しかないのも、同じ理由です。

65歳から年金が始まると、取り崩し額は大きく下がります。年金が入ってからの月15万円は、すでに収支が落ち着いたところへの上乗せなので、抜けられる年齢を前に動かす力が弱くなります。

65歳より先の10年ぶんを足しても、前に動くのは1年です。大きく効くのは年金が始まる前の期間のほうです。

効くのは、やはり生活費と家賃でした

セミリタイア単体では動きません。ただし組み合わせると大きく動きます。

選択 フルタイムを抜ける年齢
S3 ゆとり型・家賃15万円・完全リタイア 67歳
S1 節約型・家賃8.15万円・セミリタイア 55歳

12年の差です。ただし、このうちセミリタイアの寄与は2年だけ。残り10年は生活費と家賃の選択によるものです。

前回までの結論に戻ってきます。暮らし方で5〜6年、住む場所で4〜5年。働き方を変えるより、何にいくら使うかを決めるほうが効きます。

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5回分の試算を、自分の数字で引き直す

年収・支出・資産を入れると、資産が95歳まで持つ退職年齢が出ます。セミリタイアの形態やストレステストも同じ画面で試せます。生活費がまだ曖昧な場合は、先に家計コンパスで支出を整理してから試算できます。

みらいコンパスで試算する →先に家計コンパスで支出を整理する →

シリーズのまとめ

5回にわたって、世帯年収1,000万円・子どもなし・賃貸の夫婦が何歳で辞められるかを試算してきました。両面を並べます。

気をつけるべきこと

# 内容 数字
1 退職直後の暴落 95歳まで持つはずの資産が77歳で尽きる。耐えるには3年長く働く
2 利回りは自分で決められない 名目3%か5%かで4〜5年動く
3 家賃は決める機会が少ない 引っ越しのときしか選べないのに影響が60年続く。生涯で5,868万〜1億800万円
4 老後も家賃は減らない 生活費は下がるのに家賃は一定。比重が19.0%から21.0%へ上がる
5 施設介護だと資産寿命が縮む 在宅なら残高が1,816万→626万。特養・有料だと95歳を切る
6 1人が働けなくなる 世帯年収1,000万円という前提が崩れる
7 子どもを持つ選択 教育費が加わり、この試算の前提は成立しない

確かなこと

# 内容 数字
1 45歳でまとまった資産ができる 2,103〜3,783万円。家計調査の40代勤労者世帯の純貯蓄は−111万円(貯蓄1,395万・負債1,506万)
2 老後の支出は減る 家計調査の無職世帯で60〜64歳を100とすると85歳で81.4
3 NISAの枠は余っている 生涯枠3,600万円が埋まるのは11〜24年後。「枠が足りない」心配はいらない
4 NISA中心なら制度変更に強い 金融所得課税が20%→25%になっても資産寿命が変わらなかった
5 自分で選べるレバーが2つある 暮らし方で5〜6年、住む場所で4〜5年。利回りと違って確実に変えられる
6 「届かない」のは45歳であって、老後ではない 57〜67歳では資産が95歳まで持つ水準に届く

決めること、決めなくていいこと

  • いま決めること:どの生活水準で暮らすか(住居以外で年377.7万/415.9万/476.6万)
  • 引っ越しのときに決めること:家賃をいくらにするか。60年続き、4〜5年ぶんの差になる
  • 45歳で確認すること:資産が2,103〜3,783万円の線に乗っているか
  • 50歳で決めること:完全リタイアかセミリタイアか。暴落に備えて3年ぶんの余裕を取るか
  • 55歳で確認すること:セミリタイアの受け皿が実在するか(スキル・取引先・雇用形態)
  • 決めなくていいこと:NISA枠の最適化。この世帯では11〜24年埋まりません

今日やることを増やすより、いつ判断するかを決めておくほうが現実的です。

みらいコンパスで自分の数字を入れる

5回分の試算は、すべて自分の数字で再現できます。

  1. 月収入には手取りを入れます(額面ではありません)
  2. 昇給率を物価上昇率と同じ2%にします(0%だと実質の貯蓄余力が年々消えます)
  3. 生活費に家賃を含めず、家賃はライフイベントの「住居計画」で登録し、賃料上昇率に2を入力します(未入力だと0%で計算され、2〜5年楽観的に出ます)
  4. 配偶者のリタイア年齢も設定します(未設定だと働き続ける前提になります)
  5. リタイア後の月支出は退職時点の物価で入力します(欄の下に今日の金額への換算が出ます)
  6. 物価上昇率2%、実質値表示をONにします
  7. セミリタイアを試すときは、リタイア形態を「セミリタイア」にして月収入と終了年齢を入れます
  8. 最後にストレステストで暴落を入れ、それでも持つ退職年齢を探します

8番が実際の目標になります。 暴落を入れずに出した年齢は、良い条件が続いた場合の数字です。

この試算が当てはまらない人

  • 子どもを持つ選択をした場合(教育費で前提が崩れます)
  • 持ち家の場合(住宅ローンの返済は消費支出に含まれないため別計算になります)
  • 年収が大きく違う場合(非課税枠の制約も、生活費の水準も変わります)

本ケースは実在の個人ではなく、家計調査などをもとに構成したモデルケースです。前提が変われば答えも変わります。だからこそ、自分の数字で引き直してみてください。

このシリーズの他の回

これで全5回です。5回分の前提と結論はシリーズのトップページにまとめてあります。

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