住宅ローン 繰り上げ返済シミュレーション【2026年版】|控除が終わるまで待つべきかを計算した

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住宅ローン 繰り上げ返済シミュレーション【2026年版】|控除が終わるまで待つべきかを計算した

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この記事でわかること
  • 2026年入居から、省エネ基準適合住宅の控除限度額が3,000万円→2,000万円に下がりました。控除は13年で最大182万円です
  • 「控除が終わるまで待て」が成り立つ境界は金利0.7%。2026年10月の水準(変動1.3%前後・固定3.83%)では当てはまりません
  • 控除の減少は17〜21万円で頭打ち。利息軽減は金利に比例するため、3.83%なら差引+491.8万円になります
  • 借入が3,000万円以上ある人は、繰り上げても控除がほぼ減りません(年末残高が限度額まで下りてこないため)
  • 期間短縮型と返済額軽減型の差は302万円。ただし毎月の負担は後者だけ14,030円軽くなります
  • 繰り上げずに運用に回す場合との分かれ目は金利3%前後です
目次

結論:金利0.7%が分かれ目。今の金利なら、控除期間中でも繰り上げたほうが利息は減ります

「住宅ローン控除が終わるまで繰り上げ返済はしないほうがいい」とよく言われます。これを実際に計算すると、成り立つのは金利0.7%未満の場合だけでした。

借入2,000万円・35年・6年目に300万円を繰り上げ(期間短縮型)たときの試算です。

金利 利息軽減 控除の減少 差引 短縮
0.70% 62.9万円 −17.3万円 +45.6万円 5.6年
1.30%(変動の目安) 126.2万円 −17.8万円 +108.4万円 5.9年
3.00% 361.6万円 −19.3万円 +342.3万円 7.1年
3.83%(フラット35 2026年10月) 511.9万円 −20.0万円 +491.8万円 7.8年

控除の減少は、どの金利でも17〜21万円で頭打ちです。 一方で利息軽減は金利に比例して増えます。2026年10月の金利水準(変動1.3%前後・固定3.83%)では、差は100万円〜500万円規模になります。

銀行のシミュレーターでは答えが出ない部分があります

「住宅ローン 繰り上げ返済 シミュレーション」で検索すると、銀行や公的機関の計算ツールが並びます。どれも正確ですが、出てくるのは「利息がいくら減るか」だけです。

実際に知りたいのは、その手前にある判断ではないでしょうか。検索結果に出てくる「関連する質問」も、こうした内容が並びます。

  • 住宅ローンの繰り上げ返済は良くない理由は何ですか?
  • 住宅ローンの残高1000万円を繰り上げ返済しても大丈夫ですか?
  • 毎年50万円繰り上げ返済する場合、住宅ローン控除はどうなりますか?

住宅ローン控除との相殺を計算に入れないと、この判断はできません。 この記事ではそこを計算します。

前提

項目 値
借入 2,000万円
返済期間 35年・元利均等
繰り上げ時期 6年目(61か月目)
繰り上げ額 300万円
住宅ローン控除 借入限度2,000万円・控除率0.7%・13年
毎月返済額(金利3.83%・繰上なし) 86,527円

2026年入居から限度額が下がっています

まず押さえておきたい点があります。令和8年(2026年)入居から、省エネ基準適合住宅の借入限度額が3,000万円→2,000万円に引き下げられました。

住宅の種類 令和6・7年入居 令和8・9年入居
認定長期優良・低炭素 4,500万円 4,500万円
ZEH水準 3,500万円 3,500万円
省エネ基準適合 3,000万円 2,000万円
その他住宅(新築) 対象外 対象外

※子育て世帯・若者夫婦世帯は上乗せがあります(省エネ基準適合なら3,000万円)

控除率0.7%・13年なので、省エネ基準適合住宅の控除は年間最大14万円・13年で最大182万円です。

借入額を2,000万円にしたのには理由があります。この限度額と同じ額だからです。

控除額は「年末残高と3,000万円の小さいほう × 0.7%」で決まります。つまり残高が3,000万円を上回っている間は、いくら繰り上げても控除は1円も減りません。

借入額 300万円繰り上げたときの控除の減少
5,000万円 0円
4,000万円 0円
3,000万円 0.8万円
2,500万円 13.5万円
2,000万円 20万円
1,500万円 20万円

つまり2,000万円は、控除の減少が最も大きく出る条件=繰り上げ返済に最も不利な前提です。 それでも上の表のとおり、金利0.7%以上なら繰り上げたほうが差引でプラスになります。

借入が3,000万円以上ある人は、控除のことを気にする必要がほとんどありません。

残高が限度額の2,000万円まで下りてこないかぎり、繰り上げても控除は減りません。 長期優良住宅(限度4,500万円)やZEH水準(3,500万円)なら、その額までは同じことが言えます。

「控除が終わるまで待つ」を直接比べます

ここが本題です。6年目に繰り上げる場合と、14年目(控除が終わった直後)に繰り上げる場合を並べました。待っている間に300万円を運用する利益は入れていません(繰り上げ側に不利な、保守的な比較です)。

金利 6年目に繰上 14年目に繰上 差
0.40% +17.5万円 +24.2万円 −6.7万円 → 待つほうが有効
0.60% +36.0万円 +37.0万円 −1.0万円 → 待つほうが有効
0.70% +45.6万円 +43.5万円 +2.1万円 → ほぼ互角
1.00% +75.9万円 +64.0万円 +11.9万円
1.30% +108.4万円 +85.6万円 +22.8万円
3.83% +491.8万円 +320.3万円 +171.5万円

境界は金利0.7%、つまり控除率とちょうど同じでした。

理屈はシンプルです。繰り上げると控除が年0.7%分減りますが、利息は年「金利」分減ります。金利が0.7%を上回っていれば、減る利息のほうが大きいということです。

「控除期間中は繰り上げるな」という通説は、金利が0.7%を下回っていた時期の話でした。2026年10月時点で変動は1.3%前後、固定(フラット35)は3.83%です。この水準では当てはまりません。

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「繰り上げずに運用する」ほうが得ではないのか

もうひとつの反論がこれです。待っている8年間、300万円を運用したらどうなるか計算しました。

ローン金利 今すぐ繰上 待つ(運用0%) 待つ+運用3% 待つ+運用5%
0.40% +17.5万円 +24.2万円 +104.2万円 +167.4万円
1.30% +108.4万円 +85.6万円 +165.6万円 +228.8万円
3.00% +342.3万円 +232.0万円 +312.0万円 +375.3万円
3.83% +491.8万円 +320.3万円 +400.3万円 +463.6万円

分かれ目は金利3%前後でした。

  • 固定3.83%で借りている場合、運用5%でも繰り上げ返済(491.8万円)に届きません(463.6万円)
  • 変動1.3%の場合は、運用3%でも繰り上げを上回ります(165.6万円 vs 108.4万円)

ただし条件があります。運用益は税引前で、特定口座なら20.315%課税されます。NISA枠内なら非課税です。そして何より、運用は元本割れもあり得るのに対し、繰り上げ返済の利息軽減は確定しています。 同じ数字でも性質が違います。

期間短縮型と返済額軽減型、どちらを選ぶか

繰り上げ返済には2つの方式があります。金利3.83%で比べました。

  利息軽減 差引 完済 繰上後の月額
繰り上げなし — — 35.0年 86,527円
期間短縮型 511.9万円 +491.8万円 27.2年 86,527円(変わらず)
返済額軽減型 205.1万円 +189.8万円 35.0年 72,497円(▲14,030円)

金額だけ見れば期間短縮型が302万円多く効きます。 ただし毎月の負担は1円も変わりません。

返済額軽減型は、利息軽減こそ小さいものの、月14,030円の余裕が今すぐ生まれます。教育費が重なる時期や、収入が不安定な時期には、この差のほうが意味を持つ場面があります。

金額の大きさだけで決める論点ではありません。

崩れる条件

  • 金利は全期間一定としています。 変動金利なら見直しのたびに結果が変わります
  • 繰り上げ返済の手数料を入れていません。 ネット手続きなら無料の金融機関が多いものの、窓口や電話は有料のことがあります
  • 期間短縮で返済期間が10年未満になると、住宅ローン控除の要件(返済期間10年以上)を満たさなくなり、残りの控除がすべて失われます。 この試算の条件(35年→27.2年)では該当しませんが、返済終盤の大きな繰り上げでは注意が必要です
  • 団体信用生命保険の保障が早く終わります。 期間短縮型では保障期間も縮みます。金額換算していません
  • 控除には税額の上限があります(所得税+住民税9.75万円)。年収によっては控除を使い切れておらず、その場合は繰り上げによる控除の減少がさらに小さくなります
  • 住宅の種類で限度額が変わります。 長期優良住宅なら4,500万円、ZEH水準なら3,500万円です。借入額がその限度を超えている間は、繰り上げても控除は減りません
  • 手元資金をすべて繰り上げに回すと、急な出費に対応できなくなります。生活防衛資金は別に確保してください

計算方法について

本記事の数値は、月次で1回ずつ償却を回した厳密計算によるものです。

年単位で概算すると、完済月の端数処理で最大11か月分の誤差が出ます。低金利帯ではこの誤差が利息軽減額を上回り、「繰り上げたのに総返済が増える」という逆の結果が出ることがあります。実際に自社のシミュレーション計算でこの問題が見つかったため、本記事では月次計算に切り替えました(修正は別途対応中です)。

他のシミュレーターと数十万円単位で結果が違う場合、この端数処理が原因のことがあります。

みらいコンパスで自分の数字を入れる

この記事の試算は、借入額・金利・繰り上げ時期を自分の条件に置き換えて再現できます。

  1. ライフイベントの「住居計画」で持ち家を選びます
  2. 借入額・金利・返済期間・返済開始年を入れます
  3. 住宅ローン控除の区分(長期優良/ZEH水準/省エネ基準適合/その他)を選びます
  4. 繰り上げ返済イベントを追加し、実行年・金額・方式(期間短縮型/返済額軽減型)を指定します
  5. 繰り上げありとなしで、総返済額と完済年を見比べます

4番の方式の選択が、この記事でいちばん結果を分けた項目です。

住宅ローンだけでなく、教育費や老後資金も同じ画面に入れておくと、「繰り上げに回せる余裕が本当にあるのか」まで含めて確認できます。繰り上げ返済は手元資金を減らす行為なので、そこまで見てから判断するほうが安全です。

この試算が当てはまらない人

  • 元金均等返済の場合(本記事は元利均等返済が前提です)
  • 固定金利期間選択型で、期間終了後の金利が未確定の場合
  • 事業用ローンや、住宅ローン控除の対象外の物件の場合

前提が変われば答えも変わります。自分の借入額・金利・残り期間で引き直してみてください。

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